データ分析により課題を特定し、 最優先強化チャネルの選定、ATS導入、離職率改善を支援。

#大手訪問介護

採用区分

  • 課題

    IPO準備中だが、人材採用と退職率に大きな課題があった。一方で、課題把握やモニタリングが不十分。また人力で応募者対応・面接設定を実施している。

    IPO(株式新規公開)の準備段階において、事業の継続的な成長を支える人材基盤の脆弱性が経営課題として浮上していました。特に、事業の根幹をなす訪問介護スタッフの採用と定着に深刻な問題を抱えていた状況です。
    しかし、問題の根本原因を特定するためのデータ分析やモニタリング体制は十分ではなく、感覚的な議論に終始しがちでした。具体的な課題は以下の通りです。

    • 採用課題の特定不足: どの採用チャネルが有効で、どこにボトルネックが存在するのかを定量的に把握できていませんでした。
    • 高い離職率: スタッフの離職が続いていましたが、その要因を分析し、具体的な対策を講じるには至っていませんでした。
    • 非効率な採用業務: 応募者への対応や面接日程の調整といった実務を、担当者が手作業で行っており、多大な工数が発生していました。これにより、候補者への迅速な対応が遅れ、機会損失を招く一因となっていました。


    これらの課題は、IPO審査で求められる「継続的な成長性」や「安定した組織運営」に対する大きなリスクと認識されていました。

  • 提案

    人材紹介会社各社と定例MTGを持ち、紹介していただけない要因を把握した上で、打ち手を講じた。

    私たちがまず着手したのは、現状を客観的なデータで可視化することでした。過去の採用データを分析し、各チャネルの費用対効果や決定率を徹底的に洗い出しました。その結果、最もポテンシャルが高いにもかかわらず、成果に結びついていないチャネルが「人材紹介会社」であることが判明しました。
    そこで、この最優先強化チャネルに対し、以下の具体的な施策をご提案し、採用PMOとして実行を伴走支援しました。

    • 人材紹介会社との関係再構築:
      • 各紹介会社との定例ミーティングを設定。
      • 単なる依頼ではなく、「なぜ自社を紹介していただけないのか」という要因をヒアリングベースで深掘りしました。
      • ヒアリングで得た情報(魅力の伝達不足、選考プロセスの煩雑さ等)を元に、紹介会社向けの資料改訂や、連携フローの見直しを実施しました。
    • 採用管理システム(ATS)の導入:
      • 人力での応募者対応による工数増大と対応遅延を解消するため、ATSの導入を提案。
      • 複数のツールの中からクライアントの事業規模や採用フローに最適なものを選定し、導入から運用定着までを支援しました。
  • 成果

    人材紹介会社経由の面接実施数が支援前と比較して、約1.8倍に改善。また、ATSを導入し、人事工数を大幅に削減にも成功した。

    一連の施策を実行した結果、採用活動における構造的な課題は着実に改善へと向かいました。特に、データに基づき最優先チャネルと定めた人材紹介会社経由の採用において、顕著な成果が確認されました。

    • 定量的な成果:
      • 人材紹介会社経由の面接実施数が、支援前と比較して約1.8倍に改善しました。
      • ATSの導入により、応募者対応や面接調整にかかる人事工数を大幅に削減することに成功しました。
    • 定性的な成果:
      • 創出された時間的リソースを、人事担当者が採用戦略の立案や入社後フォローといった、より付加価値の高い業務へシフトさせることが可能になりました。
      • データに基づき課題を特定し、打ち手を講じるという組織文化の醸成にも貢献しました。


    本件は、HRコンサルティングの視点から採用業務全体のプロセスを再設計し、持続可能な採用力の基盤を構築した支援事例です。